2008年12月15日

第10話「週一回の行事」

2004年11月22日

「週一回の行事」 

毎週木曜日の午後2時頃、大学病院ならではの行事がある。

それは、教授・助教授が、自分の部下全てを引き連れての総回診だ。

初回は初めてでビックリした。

自分の見たことも無い先生達が、看護師長や、看護主任まで従えて約20人位が病室に入ってくる。

そしてやる事は、担当の医師についている、インターンの学生が病気の説明を、用紙に書いてあるものを
棒読みで読むだけだった。

毎回同じこの繰り返しで、一言も私との会話はないまま報告だけを聞き、終わるのだ。

この総回診の意味は何だろうと思ってしまった。

患者とは一言も話しをしない。ただデータを聞くだけであれば、そのデータはいつでも見れるものであるから、
この回診は意味が無い。

そして、約20名位ぞろぞろとくっついてくるのは、皆自分の勉強の為である。

どの行動一つとっても患者の為ではないことだけは確かだ。

病院という存在は、知れば知る程、実態がまる見えになってくる。

本来、西洋医学であれ、東洋医学であれ、病気を治すことが一番の目的だ。

それを遂行するのは、やっぱり人間と会話することが原点にある。

この会話がなければ、まるで一方的にやり方、方法でモルモットの様に、自分たちのデータ取りの為だけに
処置しているとしか思えないのだ。

すべてに人と出会うことが人間であり、これを見落としていることは、

人間としての仕事ではなく、

人間として生きることではなく、

人間そのものではなくなる

どこにいても、人を出会うことが、すべての問題をとくカギとなることを、あらためて実感する。


第3話「入院第一日目」
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Posted by NAGAIトークスタジオ at 08:00│Comments(0)癌ダンス日記
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